基本的な手順

調査にかけられる時間と調査範囲,そして得られるデータのパフォーマンスは,それぞれの現場で異なると思いますので,各自でご判断していただければと思います. その際,後でも得られる情報とそのタイミングでしか得られない情報の見極めが重要になるかと思います.

また,暫定的な津波計算結果についても目を通してから調査してください.

  • 津波計算結果

調査マニュアル

以下のデータシートと地図は全体で取りまとめるためのミニマムリクエストとお考えください. これら以外にも,各自で調査の内容をまとめていただければ幸いです.

記入データシート

データシートサンプル:file宮城県気仙沼_data_20110314_高橋(サンプル).xls

ファイル名

  • 都道府県名_data_YYYYMMDD_代表者名.xls

ファイルの内容

  1. 黄色のセルに調査結果を入力して下さい.
  2. 地点番号は自由に付けていただいて結構です.
    • ただし,調査地点マップと対応させてください. (最終的に地点番号はこちらで振り直します.)
  3. 信頼度については,岩渕さんから示されますのでもう少しお待ち下さい.
  4. 測定対象や根拠の例を示していますが,現地において臨機応変に決めていただいて結構です.
    • 後日,第三者が行ったときにトレースできるような説明を心がけてください.
  5. 調査に参加した方の氏名と所属を入力してください.
    • 調査グループの代表者の氏名に◯を付けてください.

調査地点マップ

調査地点マップ: file宮城県気仙沼_data_20110314_高橋(サンプル).ppt

ファイル名

  • 都道府県名_data_YYYYMMDD_代表者名.xls

ファイルの内容

  1. 例のように調査地点に◯印を入力してください.
    • その◯印から線を引いて,(1)で付けた地点番号と測定高さを入力してください.
  2. PDFファイルなどではなく,PowerPoint?などの第三者が編集しやすいファイル形式で作成してください.
  3. 地図は使いやすいものを自由に使っていただいて結構です.
    • もし,特にない場合は基盤地図情報閲覧サービスをお勧めします.(研究用ではコピーライトがokなので.)
    • http://fgd.gsi.go.jp/view/

ご不明な点がありましたら,遠慮無くこのメーリングリストへお知らせ下さい.

主な調査道具

  • レベル
  • スタッフ(箱尺)
  • 距離計(スケールテープやレンジング距離計)
  • 傾斜計
  • 方位計
  • ハンディGPS
  • カメラ(最近GPS付きのものが幾つか出ています)
  • ビデオ

調査項目

基本事項

現地調査における津波高(遡上高さ,浸水深,港湾での水位上昇など)の測量について

一般的には以下のような方法で行われています.

  1. 津波高の痕跡(ウォーターマーク,漂着物,証言など)を見つける.
  2. 痕跡および周辺の写真を撮影する.
  3. GPSで位置を確認する.
  4. 痕跡の汀線からの高さと距離を測量する.(汀線の測量時刻を記録すること.)

しかし,現時点では海に近づけないこと,また調査地域が極めて広くなることなどを踏まえると,上記の方法が難しい場合も考えられます.

その場合は,(4)は省略していただいて結構です. 後日,第三者が測量できるように,痕跡および場所の情報をしっかり残すようにお願いいたします.

file津波被害調査のマニュアル.pdfへの追記事項

「港内津波高」と「微弱な津波」

従来の「遡上高」や「浸水深」に加えて,「港内津波高」と「微弱な津波」が2010年チリ津波から使われています. 港内津波高とは,港湾において,岸壁は越えてはいないが明確に高さが分かる津波を意味します. また,微弱な津波とは,常時波浪との判別が不可能な微弱な津波を意味します. (この地点では津波が来襲していないという情報も重要です.)

信頼度

信頼度については,若干異なるバージョンが存在しています. 最近,原子力安全基盤機構により既往津波の痕跡データベースの整備が行われており,これに用いられている信頼度を我々も採用するのが良いと思います. 後ほど,原子力安全基盤機構の岩渕さんに投稿してもらいますので,少しお待ち下さい.

信頼度判断基準
A信頼度大なるもの。痕跡明瞭にして,測量誤差最も小なるもの。
B信頼度中なるもの。痕跡不明につき,聞き込みにより,周囲の状況から信頼ある水位を知るもの。測量誤差小。
C信頼度小なるもの。その他砂浜などで異常に波がはい上がったと思われるもの,あるいは測点が海辺より離れ測量誤差が大なるもの。
D信頼度極小なるもの。高潮,台風などの影響で痕跡が重複し,不明瞭なもの,等。

データ整理

調査後のデータの整理として,最近では国土地理院の基盤地図情報閲覧サービスやGoogle earthのkzmファイルなどを用います. 先の話ですが,ご参考までに.

水準測量

通常,津波高計測は,その時点での平均海面を基準に潮位補正をかけておりますので,現時点での地盤からの津波高についてはおおよそ把握可能と考えますが,予備的に,可能であれば水準点や三角点の計測も(計測可能対象があれば)行っても良いのではと思います.