論文番号 47

著者名 山口正隆・大木泰憲・前川隆海

論文題目 最小二乗法に基づく極値統計解析システムの精度の検討

討論者 横浜国大 合田良実

質疑

 母分布関数が未知の場合は非常に取扱いがむづかしく、既往の私の研究では、不十分でしたので、綿密なシミュレーション検討をして戴いたことに感謝致します。この研究の成果に基づく結論として、私の方法を使う場合、kind5kind9のどちらを使うべきか、あるいはデータ採択率νをどの程度に設定すべきかについて、示唆を戴ければ意義深いと考えます。

回答

 1.既知母分布のシミュレーション検討に対して、用意した5つ(kind5)あるいは9つ(kind9)の候補分布から、相関係数基準に基づいて最適確率分布を決定し、確率波高および標準偏差の推定精度を検討するという手順そのものが未知母分布を対象とした検討に相当するのでないかと危惧しています。このため、候補分布を固定した場合の検討を現在行っており、別の機会に結果を公表したいと考えています。

 2.小標本波高極値資料に適用したFT-II 型分布は長期の再現期間に対して過大な確率統計量(波高)を与えることがあります(ただし、これはシミュレーション資料でなく、実測資料に見出される傾向です)ので、この場合あまり適切な候補分布と考えておりません。したがって、Gumbel 分布および4種類の Weibull 分布よりなるkind5の使用が小標本資料に対して適当であると判断します。また、データ採択率νは高いほど精度のよい推定値を与えますが、採択率が大きい場合の標準偏差の推定精度が十分でないというのが本論文の検討方法に基づく結果です。したがって、現在 jackknife 法の標準偏差推定に対する適用性を検討しているところです。

 

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