論文番号 33

著者名 筧田 博章・水口

論文題目 単一波群による長周期波

訂正

 図-25の造波板の変位は符号が逆になっています.-1倍したものと考えてください.

 

討論者 池野 正明(電力中央研究所)

質疑

自由波制御を時間領域で可能にしたことは,将来的に不規則波を制御する際,周波数領域での制御より,実験効率がかなり向上するので有効だと思います.

ただし,本文中の式(1)の誘導の際に,造波板x=0で水平流速u=0となる自由波(parasitic wave)のみを対象とし,解を求め制御しているが,周波数領域では,造波板位置がx=xp(1)(1次オーダーの変位)で変動する際に発生する自由波(displacement wave)も制御対象としている.2次オーダーまで考慮する成分としてはこれも制御しないとバランスとしてはおかしいと思います.しかも造波水深が4050cm位と室内実験としてよく用いる場合には,parasitic waveよりもdisplacement waveの方が卓越することが多いので,ぜひ今後,この成分も考慮して時間領域での制御法を開発してください.

回答

本研究での時系列造波においては,基本波を正弦波としているので,少なくとも2次のオーダーの高周波側の成分に対しては造波板の変位を考慮するのは行き過ぎとなる.拘束長周期波,すなわちLHS解はその分母の形により浅海域では11.5次のオーダーの量となるため,制御が必要になってくるものと解釈している.

 

討論者 佐藤 慎司(建設省土木研究所)

質疑

 浅海域におけるLHS解の妥当性について

実際の砕波点,あるいは砕波帯を考えて,H/h1の条件で,LHS解で長周期波を計算すると非現実的な大きな変動となる.この原因は,傾斜海岸ではLHS解が仮定している「十分長い時間伝播した状態」になっていないためと考えてよいのか.また,本研究の実験では振幅が非常に小さな条件での実験のみが行われているが,LHS解の妥当性は実験条件の範囲に限定されるものではないのか.

回答

ご指摘のように,傾斜海岸では「一様水深部上を十分長い時間伝播した」という状態にはなっていないと言えよう.すなわち,現地で観測される長周期波はLHS解のみでは評価できない.水深の減少に伴い拘束長周期波(LHS)は大きくなるが,それに見合った形での自由長周期波も発生する.そのためトータルの長周期波はそれほど大きくはならない.これについては下記の論文を参照してください.なお,本研究では基本波の振幅が大きい場合についても検討し,拘束長周期波としてのLHS解の妥当性を確認した.

 Nagase, S. and M. Mizuguchi(1996) "Laboratory experiment on long wave generation by time-varying breakpoint", Proc. 25th ICCE, Orlando

 

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