論文番号 252

著者名 上月康則,村上仁士,伊藤禎彦,米田耕造,花房秀明

論文題目 離岸堤背部に生じる海浜変化に伴うベントス群集の変化特性

討論者 瀬戸雅文(北海道立中央水産試験場)

質疑

 1.石膏球による浅海域での平均流の測定

回答

 本研究では,ベントスの生息場である底質に影響を及ぼす流れを把握することを目的として,石膏球を用いています.そのため,海底面より5cmの位置に設置するなどの工夫をしております.石膏球を用いることの長所として長時間にわたる流れ強さの平均と多地点での同時観測が容易であります.また,短所として流速に換算することが困難ですが,底質の物理指標である海浜変化や底質粒度と一定の傾向が得られています.本邦の測定方法は「Komatsu,.and .awai(1992):easurements of time-averaged intensity of water motion with plaster balls,ournal of ceanography,ol.48,pp.353-365.」の文献に詳しくあります.

質疑

 2.魚類の影響

回答

 本邦では魚類の捕食による影響はふれておりません.現在,ベントスを餌料とする魚類とベントス群集の関係について,胃内容物調査などを中心に検討を始めております.

 

討論者 小島治幸(九州共立大学工学部)

質疑

 1.ベントスの生息可能な環境条件

回答

 水質・底質をベントスの種組成,個体数から把握しようとする調査・研究は数多くなされてきています.その結果,汚濁指標となるベントス種などベントスと底質環境の関係は明らかになりつつあります.筆者らは水質・底質汚濁以外に底質の移動といった点に着目し研究を進めております.

質疑

 1.ベントスの調査方法

回答

 確立された方法はありません.観測目的や対象地域によって観測頻度や観測地点を設定します.たとえば,観測頻度についてはベントス種のライフサイクルに合わせて設定するのが基本です.

 

討論者 松本晃治(阿土建設コンサルタント)

質疑

 1.岩礁の影響

回答

 場所の設定にあたっては,まず離岸堤内はもとより沖側,岩礁周辺を含めた広い地域で予備調査を行いました.その結果からベントス群集の種組成,類似度ならびに粒度組成,流れ強さから岩礁の影響が認められない地点を「堤内」の対象地点としての「堤外」としました.

 

目次に戻る