論文番号 242

薯者名 林 文慶・柵瀬 信夫

論文題目 三浦半島江奈湾の干潟における熱環境特性

討論者 京大防災研  吉岡 洋

質疑

 干潟は塩田みたいなものだから,そこで塩分が濃縮され,江奈湾の高塩分水供給源となっているのではないか。

回答

 今回,干潟の上,中と下部の3地点で調査したところでは,陸上に近い上部では塩分の変化範囲が広く,1.24.2%でした。57月頃梅雨時期と1月ごろの雪時期に比較的に干潟表面の塩分が低くなり,9月猛暑頃には高くなりました。恐らく塩分が濃縮されたのは,干潟が干出して日射が強くて暑くて蒸発量が多い時期であると思います。また,干潟に流入する河川の水量によって左右されると思います。しかしながら,干潟には干出と冠水の繰り返し,満ち潮時常に新しい海水の流入があり,また日射が強く暑く蒸発量が多い時期は一年中にさほど長い期間ではないので,塩分の濃縮は連続的に蓄積するプロセスでなく,周期的なものであると思います。

 干潟に棲息している多くの生物は広塩性のもので,つまり激しい塩分変化に適応できるのです。そうでないものは棲み分けているようです。

質疑

 干潟の生物環境にとって雨の影響はどうか。

回答

 雨がふると,カニ(チゴガニ)は干出干潟地表で活動(摂餌)しないことを目視観察でわかりました。雨による河川からの洪水,表面塩分濃度の低下などの影響は恐らく生物にとっては一時的なものだと思います。実際,詳しいことはわかっていません。

 なお,今後,雨天時の干出干潟の熱収支について調査し,検討していきたいと考えています。

 

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