論文番号 150

論文題目 直立壁に作用する複合型砕波圧の衝撃圧の特性

著者名 安田孝志,Seyed Ali Azarmsa,掛樋久尚

討論者 服部昌太郎(中大)

質疑

 air pocket の圧縮・膨張による圧力変動に,negative pressure が発生していない.孤立波実験(林・服部)でも negative pressure が出現しているので,composite breaker の特性の反映であるのか?,単発型荷重では,small air pocket の脱出によって,negative pressure は非常に小さい.

回答

 negative pressure が発生していない訳ではなく,封入空気塊によると考えられる振動型砕波圧発生によるものと考えられる.

但し,negative pressure の値自体が小さい理由については今後の検討課題としたい.

 

討論者 高橋重雄(港研)

質疑

 巻き込みジェットの衝突については,通常の巻き波型砕波や崩れ波型砕波でも認められており,堀川(1972)hummer shockと名付けている.これは,水塊と壁面の衝突によるWagner型の衝撃波圧の一つと思われる.したがって,ジェット衝突時の水粒子の運動や波圧波形もWagner型の衝撃波圧として説明できるのではないか?

回答

その通りと思う.Wagner型の衝撃波圧は,ジェットの規模に直接支配されるため,実際に複合型砕波のように巨大ジェットを伴う砕波が作用する場合には注意が必要である.

質疑

 巻き込みジェット部の大きな[複合型砕波]は,こうしたステップ状の水深が急変する場合に発生するものであり,通常の条件では発生しにくいものではないかと思う.通常の巻き波型であれば巻き込みジェット部による衝突力は局所的であり,それに続く空気圧縮を伴う波力が卓越するのではないか?

回答

本研究での複合型砕波はステップ式のリーフ上で生じているが,その発生過程からすれば,種々の底面境界上や戻り流れなどのある場でも生じるのではないかと考えている.

ジェットサイズが巨大となれば,ジェットによる衝突力の発生域は必ずしも局所的に限定されないと思うが,今後,なお検討したい.

 

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