論文番号 142

著者名 井上雅夫・島田広昭・野村義一・渡会英明・上山美登里

論文題目 直立有孔壁護岸の越波特性とその越波量の推算

討論者 高橋重雄(運輸省港湾技術研究所)

質疑

 図−5の潮位の影響に関して、潮位が高い場合に越波量の差が小さくなるのはなぜでしょうか。私どもの実験結果(高橋ら(1995),低天端型防波護岸の越波に関する一実験,海洋開発論文集,Vol.11pp.193-198)では、遊水室が深いとき、そして波高が大きいときには越波量が大きく通常の直立壁と差が小さくなっていました。こうした理由をどう考えたらよいのでしょうか。

回答

 ご討議いただきありがとうございました。まず、潮位の影響についてでありますが、付図-1に示しました有孔壁の効果と潮位との関係からもわかりますように、越波流量そのものがかなり少ないh/L0.096の場合を除きまして、潮位が高くなるほど有孔壁の効果は小さくなっております。これは、潮位が高い場合には低い場合よりも、エネルギー損失を生じさせるために必要な静水面上の有孔部の面積や遊水部の容積が小さくなります。そのために、潮位が高い場合には直立護岸のものとの差が小さくなるものと考えています。

 また、波高の影響についてでありますが、付図-2に示しました有孔壁の効果と波高との関係からもわかりますように、無風時のH/L0.03の場合を除きまして、いずれも波高が大きくなるほど有孔壁の効果は小さくなっております。これにつきましても、波高に対する有孔壁護岸の孔の直径、有孔部の面積および遊水部の容積などが小さくなるためと思われます。

 なお、付図-1および2の縦軸rQは、直立護岸と有孔壁護岸の越波流量の差を直立護岸の越波流量で除したものであります。

付図−1 有孔壁の効果に及ぼす潮位の影響  付図−2 有孔壁の効果に及ぼす波高の影響

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