論文番号 134

著者名 高橋重雄・鈴木高二朗・徳淵克正・下迫健一郎・善 功企

論文題目 防波護岸の吸い出し災害のメカニズムに関する水理模型実験

討論者 椹木 享(大阪産大)

質疑

 1)相似則が成立するのか

 2)それに関し、他の性状の異なった埋立土を用いて、実験する必要があるのではないか。

回答

1)裏埋砂について

 砂に関連する実験ではやはり相似則は成り立たないと思われます。そこで、”波−地盤−構造物の相互作用に関する有限要素法(第43回海工)”では、FEMによる数値計算を行い、現地と実験での違いを検討しました。まず、数値計算結果は実験をうまく表現できることが分かっています。さらに、同じ砂の条件で現地の計算を行ったところ、裏埋部では圧力が急激に減衰しています。これは実験では砂の透水係数を過大に評価していることを示しているものだと思います。

 当然、裏埋砂の種類(粘土、シルト、細砂、粗砂...)によって、透水係数が大きく変化するので、砂の物性を考慮することは重要だと思います。

2)裏込石について

 裏埋砂はダルシー則の成り立つ領域にあり、相似則が成り立ちませんが、裏込石では間隙水の流速が大きくなるため、意外に圧力に関しては差異がなく、相似則もある程度成り立っているものと考えられます。数値計算でもあまり差異は見られませんでした。

 また、裏込部については流速の2乗の項を考慮したデュプュイ・フォルヒハイマー則でほぼ説明できるものと思われます。

3)今回の実験はマウンド透過波によって裏込部にケーソン前面と変わらない程度の圧力が発生し、裏埋砂を吸い出すという話であり、相似則についてはあまり問題にならないものと思われます。

参考論文

 朴 佑善・高橋重雄・鈴木高二朗・姜 閏求(1996):波−地盤−構造物の相互作用に関する有限要素法解析,海岸工学論文集,第43巻

 高橋重雄・鈴木高二朗・徳淵克正・岡村知光・下迫健一郎・善 功企・山崎浩之(1996):護岸の吸い出しに関する水理模型実験,港研報告,Vol.35,No.2.

 

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